「もう昼ご飯を食べましたか?」と聞かれて、「いいえ、まだ食べません」と答えたことはありませんか?
日本語では「いいえ、まだ食べていません」と答えます。
「〜ていない」と「〜ない」は、中国語の「還沒」「沒在」「不」の使い分けとつながっています。
授業でも、初中級から上級まで、レベルに関係なくよく聞く間違いです。
この記事では、学習者が実際に言った文をもとに、迷わないための見分け方を説明します。
結論:「還沒」は「〜ていない」、「不」は「〜ない」
迷ったときは、次の2つで見分けます。
- 今までのことを話している(今までにしたか、していないか)→ 「〜ていない」
- これからのこと・いつものことを話している(するつもりか、ふだんするか)→ 「〜ない」
| 言いたいこと | 中国語 | 日本語 |
|---|---|---|
| まだ食べていない | 我還沒吃 | まだ食べていません |
| 最近は遊んでいない | 我最近沒在玩 | 最近は遊んでいません |
| 食べない(食べるつもりがない) | 我不吃 | 食べません |
| いつも飲まない | 我不喝酒 | お酒は飲みません |
中国語との対応は目安です。迷ったときは、上の1と2のどちらの話をしているか(今までのことか、これから・いつものことか)で考えます。
「〜ていない」の使い方
この記事で扱う「〜ていない」は、今までにそのことがまだ起きていない、または、していないことを表す使い方です。
まだ起きていないこと(還沒)
「まだ」と一緒によく使います。
- 〇宿題はまだ出していません。
- 〇田中さんはまだ来ていません。
- 〇その本の中国語版は、まだ出ていません。
どれも「これから起きるかもしれないけど、今はまだ」という意味です。
最近・今はしていないこと(沒在)
「最近」「今は」と一緒に使うと、ある期間ずっとしていないことを表します。
- 〇最近はスイッチで遊んでいません。
- 〇最近はどこへも行っていません。
- 〇今は、タバコを吸っていません。
前はしていたけど、最近はしていない、という場面でよく使います。
したと言われたことを否定する(事実の否定)
「あなたがやったんでしょう?」と言われて、「やっていない」と事実を否定するときも、「〜ていない」を使います。これも、やっていない状態が今まで続いている、という「〜ていない」です。
- A:(あなたが)この花瓶を割ったの?
- B:〇(私は)割っていません。
- B:〇(私は)やっていません。
ふつうは、聞かれた形に合わせて答えます。「割りましたか?」と聞かれたら、打ち消しは「割りませんでした」です。文法的には間違いではありませんが、疑われて「私はやっていない」と言うときは、「割っていません」のほうが自然です。
「私はやりません」と言うと、「これからやるつもりはない」という意味に聞こえます。過去のことを聞かれているので、時制も合っていません。
「私はやりませんでした」は、時制も合っていて間違いではありませんが、この場面では少し不自然に聞こえます。「やりませんでした」は、その場にいて、自分で決めてしなかった、という感じに聞こえます。やるつもりがあった、やりかけたけど結局しなかった、という場面に合う言い方です。身に覚えがないことを否定するときは、「やっていません」を使います。
- A:宿題はやりましたか?
- B:〇いいえ、(まだ)やっていません。
「いいえ、やりませんでした」と答えると、わざとやらなかった、自分の意思でやらなかった、という感じに聞こえます。
「もう〜ましたか?」への答え方
「もう〜ましたか?」と聞かれて、まだしていないときは、「〜ていません」で答えます。
- A:もう薬を飲みましたか?
- B:〇いいえ、まだ飲んでいません。
- B:〇いいえ、まだです。
短く答えるなら、「いいえ、まだです」が便利です。
「〜ていない」は、そのことが起きていない状態が、今も続いていることを表します。
「〜ている」には、「窓が開いている」「結婚している」のように、今の状態を表す使い方があります。「〜ていない」はその打ち消しで、「そのことが実現していない(未実現)状態が、今まで続いている」という意味になります。
- 〇まだ食べていません。(食べていない状態が、今も続いている)
- 〇私はやっていません。(やったという事実がない状態が、今も続いている)
「まだ」が付いていてもいなくても、考え方は同じです。
「〜ない」の使い方
「〜ない」は、これからのこと、いつものこと、ルールや性質を表します。
するつもりがないこと・これからの予定(不)
- 〇明日のパーティーには行きません。
- 〇今日は、晩ご飯は食べません。
自分で「しない」と決めているときの形です。
- 〇(おなかがいっぱいなので)まだ食べません。
「まだ」が付いても、今は食べないと決めているときは「〜ない」です。
いつもしない習慣
- 〇私はお酒を飲みません。
- 〇週末は、仕事のメールを見ません。
「いつも」「ふだん」の意味が入っている文です。
ルールや性質(いつもそうなること)
決まったルールや、ものの性質を説明するときも「〜ない」を使います。
- 〇急行は、この駅には止まりません。
- 〇このペンは、水にぬれても消えません。
いつ、だれがやっても同じ結果になることを説明する文です。
「〜ていない」と「〜ない」の比較表
| 〜ていない | 〜ない | |
|---|---|---|
| 表すこと | そのことが起きていない状態が、今も続いている | するつもりがない・いつもしない・ルール |
| よく一緒に使う言葉 | まだ、最近、今は | 明日、いつも、ふだん |
| 中国語 | 還沒、沒在 | 不 |
| 例 | まだ食べていません | 食べません |
台湾人学習者が間違えやすいポイント
ポイント1:疑われたときに「〜ませんでした」と答えてしまう
「割りましたか?」と聞かれて、自分はやっていないと言いたいときは、「割っていません」と答えます。
- A:(あなたが)この花瓶を割ったんですか?
- B:△いいえ、割りませんでした。 → 〇いいえ、割っていません。
聞かれた形に合わせて答えるのがふつうなので、「〜ましたか?」には「〜ませんでした」と答えたくなります。過去のことを過去形で答えているので、時制も合っています。それでも、疑われて否定する場面では不自然に聞こえるので、特に勘違いしやすいところです。
「割りませんでした」は、文法的には間違いではありません。ただ、「花瓶を割ったのは私だ」という事実を否定するというより、「割るという動作をしなかった」と言っているように聞こえます。
たとえば「割ろうと思ったけど、結局割りませんでした」のように、ある動作をしたかしなかったかを話す場面なら、「割りませんでした」が使えます。
でも、割ったのではないかと疑われて「割ったのは私じゃない」と言いたいときは、「割っていません」のほうが自然です。
つまり、大事なのは過去形か現在形かだけではありません。否定したいのが「ある動作」なのか、「そのことが起きて、しかも自分がやった」という事実なのか、という点です。
ポイント2:「還沒」を「まだ〜ない」にしてしまう
「まだ〜していない(還沒)」と言いたいときは、「〜ていない」にします。授業で実際に聞いた文を見てみましょう。
- ×いいえ、まだ飲みます。 → 〇いいえ、まだ飲んでいません。
- ×まだ登りません。 → 〇まだ登っていません。
- ×(まだ習っていないので)勉強しません。 → 〇まだ勉強していません。
- ×(スキーをもうしましたか?に)いえ、しません。 → 〇いいえ、まだしていません。
中国語の「還沒吃」は、「還(まだ)」+「沒吃(食べない)」に見えるので、そのまま「まだ食べない」と言いたくなります。「まだ食べない」も正しい日本語ですが、意味が違います。「まだ食べない」は、「今は食べないと決めている」という意思や、これからのことを表します。「〜ない」の使い方と同じ考え方で、中国語の「還不吃」に近い意味です。
ポイント3:「最近」「今は」と一緒に「〜ない」を使ってしまう
「最近」「今は」のように、今までのある期間を表す言葉があって、その間していないことを言うときは、「〜ていない」を使うことが多いです。
- ×最近私はスイッチで遊びません。 → 〇最近はスイッチで遊んでいません。
- ×最近はどこへも行きませんでしたね。 → 〇最近はどこへも行っていません。
- ×(朝活は)今しないです。 → 〇今はしていません。
「去年の夏」「昨日」のように、もう終わった時間のことなら、「〜なかった」を使います。
- 〇去年の夏は、暑かったので、どこにも行きませんでした。
「最近」は、今も続いている期間です。終わった時間のことは「〜なかった」、今まで続いている期間のことは「〜ていない」と分けて考えましょう。
ポイント4:ルールの説明に「〜ていない」を使ってしまう(上級者に多い)
日本語に慣れてくると、反対に「〜ていない」を使いすぎることがあります。ルールや性質を説明するときは、「〜ない」を使うことが多いです。
- ×(時刻表の案内で)急行は、この駅には止まっていません。 → 〇急行は、この駅には止まりません。
「止まっていません」は、「今見たら、急行は止まっていない」という、今の状態の報告に聞こえます。「急行はいつもこの駅に止まらない」というルールを言いたいときは、「止まりません」です。
練習問題
- ( )に入る、より自然な言い方はどちらですか?
A:もう昼ご飯を食べましたか? B:いいえ、まだ( )。
a. 食べません b. 食べていません - ( )に入る、より自然な言い方はどちらですか?
A:お酒は飲みますか? B:いいえ、私はお酒を( )。体質的に合わないんです。
a. 飲みません b. 飲んでいません - ( )に入る、より自然な言い方はどちらですか?
最近、仕事が忙しくて、ジムに( )。
a. 行きません b. 行っていません - ( )に入る、より自然な言い方はどちらですか?
A:レポートはもう出しましたか? B:すみません、まだ( )。
a. 出していません b. 出しません - ( )に入る、より自然な言い方はどちらですか?
うちの犬はおとなしくて、知らない人が来ても( )。
a. ほえない b. ほえていない - ( )に入る、より自然な言い方はどちらですか?
明日のパーティーには( )。用事があるので。
a. 行かない b. 行っていない - ( )に入る、より自然な言い方はどちらですか?
A:新しい映画、もう見た? B:ううん、まだ( )。
a. 見てない b. 見ない - ( )に入る、より自然な言い方はどちらですか?
去年の夏は暑かったので、どこにも( )。
a. 行きませんでした b. 行っていません - ( )に入る、より自然な言い方はどちらですか?
A:ケーキを食べたの、あなたでしょう? B:違います! 私は( )。
a. 食べません b. 食べていません
解答を見る
1. b. 食べていません まだしていないこと(還沒)なので「〜ていません」です。
2. a. 飲みません いつもしない習慣なので「〜ない」です。
3. b. 行っていません 「最近」は今まで続いている期間なので「〜ていない」です。
4. a. 出していません まだ起きていないことなので「〜ていない」です。
5. a. ほえない 犬の性質なので「〜ない」です。
6. a. 行かない するつもりがない、これからの予定なので「〜ない」です。
7. a. 見てない まだしていないこと(還沒)なので「〜ていない」です。会話では「い」が落ちて「見てない」になります。
8. a. 行きませんでした 「去年の夏」はもう終わった時間なので「〜なかった」です。
9. b. 食べていません 食べたかどうかという事実を否定しているので「〜ていない」です。
まとめ
- 今の時点でまだ起きていないことは「〜ていない」で言います。
- するつもりがないこと、いつもしないこと、ルールや性質は「〜ない」で言います。
- 「還沒」「沒在」は「〜ていない」、「不」は「〜ない」と考えると迷いにくくなります。
- 「まだ〜ていない」は今までまだしていないこと、「まだ〜ない」は今はしないと決めていることです。
- 「最近」「今は」と一緒に、その間していないことを言うときは、「〜ていない」を使うことが多いです。
- 去年や昨日など、終わった時間のことは「〜なかった」を使います。
小桃先生からのワンポイントアドバイス
「〜ていない」と「〜ない」は、頭では分かっていても、話すときにとっさに「〜ない」が出てしまいやすい文法です。
まずは「『もう』と聞かれたら『まだ』と答える」、つまり「もう〜ましたか?」には「まだ〜ていません」、という組み合わせを、口で何度も言って覚えてしまいましょう。
「いいえ、まだ飲んでいません」「まだ見ていません」のように、自分がよく使う動詞で練習するのがおすすめです。
日本語を「使える」ようになりたい方へ
時制の間違いは、自分ではなかなか気づきにくいものです。会話の中で言い直してもらうと、一気に身につきます。
Buxibanでは無料体験レッスンを実施しています。自分の話し方のクセを確かめたい方は、ぜひお気軽にお申し込みください。
